
自閉症スペクトラム(ASD:Autism Spectrum Disorder)は、脳の発達の仕方の違いによって生じる「生まれつきの特性」です。病気ではなく、その人の「持ち味」や「タイプ」として捉えるのが現代の一般的な考え方です。
大切な考え方:ニューロダイバーシティ(脳の多様性) 近年では、ASDを「欠陥」ではなく「人類の脳のバリエーションの一つ」と捉える考え方が広がっています。適切な環境さえあれば、その独特の視点や集中力は大きな強みになります。
基礎知識として重要なポイントを整理しました。



1⃣主な2つの特徴(診断基準の柱)
ASDには、大きく分けて以下の2つの特性があります。
①対人関係・コミュニケーションの困難さ
・相手の表情や場の空気を読むのが苦手。
・言葉の裏(皮肉や比喩)を理解しにくい。
・自分の興味があることを一方的に話してしまうことがある。
②強いこだわり・反復的な動作
・決まったルーティン(手順)を強く好む。
・特定の分野に対して驚異的な記憶力や集中力を発揮する。
・感覚過敏(特定の音が苦痛など)や感覚鈍麻(痛みを感じにくいなど)がある。



2⃣なぜ「スペクトラム(連続体)」と呼ぶのか
以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」などと分けられていましたが、現在はそれらを境界線のない一つの連続体(スペクトラム)として捉えています。
症状のグラデーション: 虹のように、特性が強い部分もあれば弱い部分もあり、人によって現れ方は千差万別です。
知的発達との関係: 知的障害を伴う場合もあれば、平均より高い知能を持つ場合(いわゆる高機能自閉症など)もあります。



3⃣知っておきたい「感覚」の違い
多くのASD当事者が抱えているのが「感覚過敏」です。これは性格の問題ではなく、脳の情報の受け取り方の違いです。
聴覚:掃除機の音や人混みのガヤガヤした音が、刺さるように痛く感じる。
視覚:蛍光灯のチラつきが気になったり、日光を眩しすぎると感じたりする。
触覚:服のタグや特定の素材が肌に触れるのをひどく嫌がる



4⃣接し方のヒント(合理的配慮)
周囲が少し工夫をするだけで、ASDの方はぐっと過ごしやすくなります。
具体的に伝える: 「適当にやって」ではなく「10分間で3枚コピーして」と数字や具体名を使う。
視覚化する: 口頭での指示だけでなく、メモや図、リストを使って見せる。
見通しを立てる: 急な予定変更はパニックの原因になりやすいため、事前にスケジュールを共有する。